2018年1月22日月曜日

LEPY LP-2024A+の改造についての記録

LEPYのデジタルアンプであるLP-2024A+について、改造に一定の目処がついたのでまとめておく。


改造の概要


* 電源キャパシタの交換 ※電圧変動の安定化
* OPampの電源キャパシタの交換 470uF → 2200uF (2.2mF) ※電圧変動の安定化
* 入力カップリングキャパシタの交換 3.3uF → 47uF ※低音域の減衰を減らす
* OPampの交換 Rohm BA4560 → National Semiconductor LME49720NA ※雑音の低減及び高音質化
* OPamp→TA2024のカップリングキャパシタの交換 電解4.7uF → 積層フィルム 2.2uF ※高音質化 (TA2024のdatasheet値)
* 出力段インダクタの交換 ※高音質化
* 出力段キャパシタの交換 0.47uF (470nF) → 0.22uF (220nF) ※インピーダンス 4Ω→8Ωへの定数変更 (TA2024 datasheet値)

なお、改造を終えて当初の目的が達成されたかは、出力端子にスピーカー代わりのダミー抵抗を接続した上でオシロスコープ (やそれに類する測定器具)を用いて判断する必要があるが、当方では行っていない。つまり、効果は未検証であることに留意。


価格 (部品代)


本体 (スイッチング電源込み)と部品代で5000円ぐらい。

* 本体+スイッチング電源 (ACアダプタ) → 3200円ぐらい @amazon
* RCA-3.5mmステレオケーブル → 500円ぐらい @amazon
* Rubycon ZLH 電源用アルミニウム電解キャパシタ 2200uF/35V 180 @秋月
* National Semiconductor LME49720NA 260 ×2 = 520 @秋月
* ニッセイ電機 積層メタライズドポリエステルフィルムキャパシタ 2.2uF/50V 68×2 = 136 @マルツ
* ニッセイ電機 積層メタライズドポリエステルフィルムキャパシタ 0.22uF/50V 14×4 = 56 @マルツ
* Panasonic ラジアルリードインダクタ ELC09D100F 103 ×4 = 412 @RS


使った道具


* はんだごて
* リワークツール
* 固定する台座
* ドライバ (hex, plus)
* フラックス (電子回路基板用) ※板金用と間違えないこと
* ピンバイス 0.8mm


残された改善点


* 電源キャパシタの増量 → 4700uF (4.7mF)程度?
* OPamp-TA2024 カップリングキャパシタの増量 → 4.7uF程度?
* 出力段インダクタの交換 → 磁気シールド付きのもの?
* 可変抵抗器の交換
* 電源をスイッチング電源からトランス電源へ変更
* 電源電圧を12V→15Vへ上げる (TA2024はabsolute maximum ratingで16Vまで) ※この改造を行う場合、リレー×2をDC15V driveの物へ要交換、及び各キャパシタの耐圧を要確認

以上の改善を行う目的


* 電源に関するキャパシタの増量は、リップル (電源変動)に対する安定性向上が見込める
* カップリングキャパシタの増量は、低音域の減衰量低減が見込める
* 出力段インダクタをシールド付きへ交換すると、隣接したインダクタ同士の磁気干渉によるクロストークの低減が見込める
* 可変抵抗器の交換は、ギャングエラー (左右チャンネルの抵抗値差による音量差)を減らせれば高音質化が見込める他、いわゆるガリオーム対策にもなる (かもしれない)
* トランス電源への変更は、電源ノイズの低減による高音質化を見込める

電源電圧の向上とOPampの選定について


電源電圧の昇圧 (12V→15V)は、一般に電源電圧が高い方がOPampなどの性能が上がる (本来の性能を発揮できる)ことを期待している。詳しくは各OPampのdatasheetを参照する必要があるが、おおむね±15V程度の電源電圧 (つまり30V程度)を与えた場合にdatasheetの性能が発揮されると読める。

ただし、デジタルアンプICであるTA2024は絶対定格が16Vまでなので、余裕を見て15Vまでにしておくのが良さそうだ。また、リレーが12V駆動のものなのでこれを交換する必要もある。更に、OPampは本来正負電源なので、真面目に±15Vを与える場合には対応する電源を用意した上で基板に大幅な加工が必要になる。

今回の改造でNational Semiconductor (現Texas Instruments)のLME49720NAを採用したのは、高々12V (仮にその半分を仮想GNDとした場合±6V)程度の電圧では、高耐圧版であるLME49860NA (や、その他の高性能OPamp)を使う必要性が薄い (ほぼない)と判断したため。価格も260円 (秋月)とこなれている (ちなみに49860は倍ぐらいの値がする)。

もちろん、LM4562、LME49720、LME49860といったdatasheet上では同じスペックのOPampでも聞き比べると違いが出るという意見もあるので、全く無駄であるとは断定しない。

※最近 (2018-01-22)確認してみたところ、秋月ではLME49860の取り扱いがなくなっている (以前からdiscontinuedのマークはついていた)。これから入手するならばLME49720で良いだろう。